教育資金贈与(1,500万円非課税)は有効か?

2013-06-27

平成25年度税制改正で創設された「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」

 

孫や子に贈る教育資金の贈与税が非課税になる商品を、信託銀行をはじめとして地方銀行、メガバンク、証券会社等が順次取り扱い始めています。
相続対策の一環として富裕層を中心に注目を集めています。

 

後日説明させていただくNISA(ニーサ)<少額投資非課税制度(日本版ISA)>とともに金融機関が窓口となるこの税制ですが、メリット、デメリットは?
口座開設の前に一度税理士さんに相談していただければと思います。

 

(「教育資金非課税申告書」他を見ましたが税理士署名の欄がありません。。 金融機関経由税務署行きとなります。
最終贈与税の申告が必要な際は税理士が税務代理するので贈与の状況は都度把握する必要があります。)

 

制度のあらまし、教育資金の範囲、Q&A他(国税庁HPより) http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/sozoku-zoyo/201304/01.htm
同上                (文部科学省HPより)  http://www.mext.go.jp/a_menu/kaikei/zeisei/1332772.htm

 

 

 

<1>  教育資金贈与 概要  (詳細は割愛致します。)

 

平成25年4月1日から平成27年12月31日までの間に、金融機関で契約に基づき教育資金口座を開設父母や祖父母等から子や孫等教育資金を贈与した場合、金融機関へ所定の手続きをすれば一括贈与でも1,500万円まで税金(贈与税)がかからないというものです
(受け取る人一人につき1,500万円までです。祖父、祖母それぞれから1,500万円贈与を受けても非課税は1,500万円です。)


学校以外の学習塾やスポーツ等の習い事は1,500万円のうち500万円まで税金がかかりません。



受け取った人が30歳になる等すれば契約が終了します。その際一括贈与した金額から教育資金として使った金額の差額が贈与税の対象となり申告・納付する必要が生じます。


 

 

<2>  一括贈与?うちは都度都度教育費を贈与しているけど税金払っていませんよ?

 

相続税法では、親子間等において、生活費または教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められる部分の金額について贈与税を非課税にすることとしています。           


これは以前から法律で定め
れており今回の教育資金贈与と違い細かい手続きを必要としません。



??
1と2は何が違うの? 2でいいのでは?


 

 

<3>  教育資金贈与を行うメリット



平たく言うと「相続対策」です。


 

① 一括贈与をするとその時点で相続財産の対象から外れます。


万が一贈与した祖父母(と仮定します。)に相続が発生しその時点で教育資金の全部または一部が使われてなくても、です

(通常は相続開始前3年以内の贈与財産は相続税の計算の対象となります。)
(受け取った人が30歳に達した際、教育資金口座の積み残し分があり3年以内に贈与した人に相続が発生すると相続財産の対象になります。
精算課税を適用していれば、等ありますが今回は割愛致します。)

 

② 1,500万円の教育資金贈与の枠+暦年贈与が活用できます。

 

暦年贈与とは1年間の贈与で贈与を受けた財産の価額の合計額に応じて税金が発生します。毎年 年間110万円までは贈与税が発生しません。

 

 

相続財産を多くお持ちの資産家の方についてはこの制度を活用することで相続財産を減額する事が可能です。

 

 

<4>  当然デメリットもあります。

 

① 非課税を受けるための手続きが面倒

 

開始手続きはそうでもないと思いますが、教育資金を贈与すると一定期間ごとに金融機関に領収書(原則原本)の提出が必要となり管理を含め煩わしい手続きが生じます。

(金融機関、税務署の管理も大変そうですね。。)

 

② 現段階できちんとした教育資金計画をたてる必要があります。

 

1で触れましたが受け取った人が30歳に達する等した時、残金が残っていると多額の贈与税が課せられる可能性が生じます
現時点での教育資金を中心としたライフプランを検討する必要が生じます。
(公立・私立・学部・いつから等)

 

ライフプランを立てて将来設計する事はすばらしい事です。
が当然都度修正していく事が必要となります。
一方、教育資金の追加は現段階では平成27年12月31日までですので実質修正できず先を見据えた贈与を行わなければなりません。

 

3のメリットを活用すべく、贈与税がかからない確実に必要である最低限の金額を贈与する方が賢明かもしれません。

 

贈与税を払うのは渡した人ではなく受け取った人(子・孫)です!!

 

 

 

<5> 最後に

このようにメリット・デメリットがあるので個々人の事情に応じてアドバイスさせていただきます。

私自身のお客様に関しましても
「詳しく説明してくれ」、とおっしゃる人もいれば「使い勝手が悪いなぁ、通常の非課税の贈与でいいや」とおっしゃる人等様々です。

(金融機関の人は富裕層の囲い込みに色々な営業トークをしていくのでしょうね。)

ここで全ての説明をさせていただく事はできませんので参考HPを参照していただくか、竹下までご質問していただければと思います。

大阪、京都、神戸、奈良/枚方(樟葉)、交野、寝屋川、高槻、八幡
30代税理士 竹下 和彦

 

 

 

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